文春新書2007第1刷発行
川口マーン惠美著
タイトルから期待される内容とは程遠い、ドイツ人とのハーフ3人娘のスーパーママの話でした
ドイツでの教育の事(10歳にして進路が決まってしまう)、風紀の事(深夜に子供が遊びに出かけるのが普通)、バイリンガルに育てるには努力が必要(彼女は怠ったらしい)、ドイツの食事情(夕飯は温かいモノを出さず昼がホットミール→確かにドイツ人友人宅に何日か泊まった時には夜はパンとソーセージとチーズにワインだった)とか
タイトルから期待した内容とかけ離れていたけど、最後の締めが心に残った
以下、引用
子供の幸せに対して私がおおよそその責任を取れるのは、子供の幼いうちだけである。そもそも、子供がこの世に存在するということ自体が、私の意志の反映であり、生後3年ほどは、生殺与奪の権もほぼ百%、私が握っている。この時期の親の力は絶大で、万能の影響力を行使することができる。しかし、その強大な影響力を駆使して親がすべき事は、線路を敷く事でも、他人に愛される「いい子」を作る事でもない。子供が幸せだと感じる子供時代を与えてやる事だと思う。他人の評価なんて、どうでもいいのだ。賞賛が必要ならば、親が褒めてやればいい。そのために親はいるのだ。
幸せに生きるという事は、至難の業である。厳しい現実がのさばり、幸せの感情は遠ざかっていく。だからこそ、せめて今のうちに、子供の心に幸せの感情をしっかりと刻むことができればと思う。いつか子供が成長し、全ての幸せが逃げてしまって、不幸のどん底に落ちそうになった時、彼女たちが幼い時の幸せな感情を思い出してくれるなら、私にとってこんな嬉しい事はない。幸せの原体験は、すなわちエネルギーである。原体験を与えてやれるのは、世界広しと言えども親しかいない。人生は長く苦しい事は多い。そして、親が子供を庇ってやれる時間は短いのである。
子供がいつか年をとった時「子供の時は結構楽しかった」と思ってくれること、私の子育ての目標は、それに尽きるのかもしれない。そして、それが低い目標だとは、私は決して思わない。
以上
かなりグッときました☆